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今も漁師たちは山に木を植える

MV 今も漁師たちは山に木を植える

森から里へ、そして海へ流れた水が命を循環させる。

陽光あふれる穏やかな海の眺めが広がる、日出町の大神(おおが)漁港。
早朝の市場には別府湾で揚がった鮮度抜群の魚が並び、一般の人も仲買人から安く買えるとあってにぎやかだ。

中山公夫さんは25歳の時から、この海海で漁を続けてきた。昔に比べると水揚げは減っているものの、ここは青魚、白身魚、エビ類などあらゆる種類の魚が揚がるという。
なかでも最近漁獲量が増えているハモは、味がいいと評判で、町内の飲食店でハモ料理が味わえる。

「別府湾は後ろに山があって地下水が豊富なので、魚がよく育つ。海と山のつながりを一番感じるのは、梅雨時期です。この辺りの漁は6~7月が最盛期ですが、その頃に雨が降らないと魚がとれない。山から栄養豊富な地下水が流れてこないと、プランクトンが湧かないので魚が育たない。雨がしみ込んだ山からの水が、海には大事なんです」と中山さん。

県漁協では、県内各地の山で植樹活動を行ってきた。日出町の漁師たちも、約30年前から豊岡の「漁民の森」に植樹を行い、下刈りなどをして木を育ててきた。「若い時は、漁師がなんで山に行かんといけんのや?と思っていたけど(笑)、この年になって初めて理解できる」という。

別府湾漁船クルーズでは、山の養分がしみ込む暘谷城下の名産・城下カレイの生息地を巡るコースもある。