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「世界農業遺産認定から1年を迎えて」
イベント・レポート

大分県国東半島宇佐地域が、昨年(2013年)の5月30日に石川県で開催された国際会議において、他の5箇所とともに世界農業遺産に認定されて1年を迎えました。この地域が認定を受けることができたのは、先人たちの知恵と努力で守り継がれてきたものが高く評価された結果であり、これを発展的に次の世代へ繋いで行くことが大事だと考えています。
この1年間、国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会では、地域の営みを次の世代に繋いでいくために「保全啓発」「情報発信」「ブランド化の推進」の3つの柱で事業を進めてきました。
保全啓発では、認定の意義等を再確認して頂くためのシンポジウムや、中学生を対象とした特別授業を実施してきました。5月15日には、中国科学院の閔教授を迎え、中国、韓国等の世界農業遺産の取組について、紹介を頂く国際セミナーを開催しました。また、2月には認定要件の1つである生物多様性の保全について理解を深めてもらうため、生物多様性シンポジウムを開催しました。生物多様性については、私も様々な機会を通じて、その重要性について発信を続けているところです。
情報発信では、地域の観光振興等を図るため、新たにホームページを開設し、しいたけの収穫体験等のモニターツアーを実施するとともに、大分農業文化公園を世界農業遺産の拠点施設と位置づけ、シチトウイ棚田やジオラマの整備等を行ってきました。
また、ブランド化の推進では、地域の特産物に付加価値をつけるための取組を実施し、乾しいたけ、シチトウイ加工品の認証制度の創設に取り組んできました。
今後の取組としては、今年度設置が予定されているファンドを活用し、特別授業の成果を発表する中学生サミットの開催等の、次世代への継承教育や農耕文化の保全活動に対する支援に取り組むとともに、国内の他の認定地域との連携も進めたいと考えています。
こうした取組を通じ地域の活動がより活発になり、そして、地域の人々が自らの地域の宝を見直し、それらを次世代へ継承していけるよう取組を進めて参ります。

2014年6月4日

国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会 会長 林 浩昭

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