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「世界農業遺産認定から5周年を迎えて」
イベント・レポート

  平成25年5月30日に国東半島宇佐地域の「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」が世界農業遺産に認定されてから5周年を迎えました。
この間、伝統的な農林水産業システムの「次世代への継承」と世界農業遺産ブランドを活用した「地域の元気づくり」を柱とした取組を進めてきました。
  「次世代への継承」では、地域内の全ての小・中・高等学校で世界農業遺産に関する学習を行っています。小学校では、世界農業遺産を学ぶための教材本(マンガ本)を認定地域の全67校の6年生に配布し、総合的な学習の時間等で授業を実施しています。中学校では、地元農家を講師として学校に招聘し、認定地域の全23校で単元の中に位置付けるなどして授業を実施しています。高等学校では、生徒が地元のしいたけ生産者など農林水産業従事者を訪ね、農業体験や聞き取ったその知恵や技術、想いなどを「聞き書き」集としてまとめ、地域内の全生徒に配布しています。
  こうした取組により、児童・生徒に対し、着実に世界農業遺産に対する理解の促進と地域への誇りの醸成が図られてきています。彼らがこの地を巣立っていったときでも、この世界農業遺産の価値について語れるように、そして願わくは、将来この地域のさらなる活性化に力を尽くしてくれるように強く願っています。
  「地域の元気づくり」では、国東半島宇佐地域世界農業遺産地域ブランド認証制度や、地域で生産される農林水産物や加工品などにシンボルマークの使用を認める応援商品制度による農林水産物のブランド化、環境に配慮して生産された農産物を加工する工場の見学や森の中でのしいたけ収穫など世界農業遺産の体験を組み合わせたバスツアーの実施、世界農業遺産や地域の魅力を説明する「語り部」の育成、地域住民や団体等の世界農業遺産に関連した自主的な活動への支援などを行っています。また、地域の魅力を県内外に伝えるため、県内外でのPRイベントの実施、ホームページやSNSなどにより情報発信を行っています。
  こうした取組により、地元の地域おこし団体による自主的なため池等を巡るウォーキングイベントが増え、県内外から多数の方が参加しており、「次回も是非来たい」などの声が寄せられ、地域の活性化に向けた動きも益々盛んになっています。
  5周年を迎える今年度は、これまでの取組に加え、農林水産物を活用した新商品開発などを応援するビジネス・アイディアプランコンテストの開催や、世界農業遺産を実際に見て理解してもらうため、クヌギ林やため池、しいたけのほだ場を活用したビュースポットの整備などの取組を進めてまいります。
今後も、伝統的な農林水産業システムの「次世代への継承」と世界農業遺産ブランドを活用した「地域の元気づくり」を目指していきます。

平成30年5月30日

国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会 会長 林 浩昭

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